野田 敬生 『CIAスパイ研修―ある公安調査官の体験記』の感想

野田 敬生 『CIAスパイ研修―ある公安調査官の体験記』の感想

元公安調査官の野田敬生がCIAへ研修に行った時の手記を元にして書かれた本『CIAスパイ研修』。僕としては公安庁がCIA研修を行っているとゆう事実に驚かされて読んだ。

著者の野田は女性関係の事件で公安を辞退したらしく、今はフリーのジャーナリストで主に公安調査庁に批判的な記事を書いている。

野田敬生のブログ: ESPIO


本の内容は、前半部分で2週間弱のCIA研修期間の出来事を細かく綴った行動日誌と、研修中に行われた講義の授業内容、そして後半部分では公安庁の組織としての仕組みや海外情報機関との係わりなどが書かれている。

この本を読む動機となったCIA研修について書かれている前半部分だが、研修の内容は特に目玉といえるような部分はほとんど無く半分が観光旅行といった所で、講義の内容も情報分析に携わっているものであれば誰もが実践している事だそう。

それでも個人的には、簡潔明瞭を原則とするレポートの書き方、特に受動態ではなく能動態を使えとゆう部分は勉強になった。また、文中でも強調され随所に垣間見えるCIA職員の狡猾さ、能力の高さが興味深くみえた。

前半部分で特筆すべき情報は、公安だけでなく警察庁もCIA研修を行っており、それも4ヵ月とゆう長期間でかなり実践的な研修であるらしい事。CIAと警察庁は情報交換を頻繁に行っており、ペルー大使館事件ではその突入時にCIAから警察庁に突入間近との電話報告をしたと、CIA職員が語っている事である。

冷戦構造の終わった昨今、公安庁とゆう組織はいついかなる時も解体の危機にさらされていると言って過言ではないほど、その存在が疑問視されている。最近では朝鮮総連と公安庁元長官との土地建物売却問題を引き金にして公安解体が叫ばれていた。

後半部分では著者のバイアスを強め公安庁の情報機関としての未熟さが批判的に書かれている。情報管理能力の甘さ、分析と工作を二分しない組織構造、盗聴すら行わずヒューミントに特化した情報活動などが批判の対象とされている。

この本だけを読むと公安庁の無能力さに呆れ公安庁解体に賛成してしまいそうだが、著者の野田は女性関係の事件を期に一貫して公安庁批判の記事を書いている事もあり、客観性とゆうか一度は公安庁の翼賛の意見を聞かない限り鵜呑みにも出来ない。

根本的に組織構造を変えなきゃ情報機関としてどうなんだろうという印象だが。菅沼光弘 元公安調査官の講演はおもしろかったので貼っとく。