イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』読んだ感想

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』読んだ感想

イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』読んだ。その筆陣は軽いが示唆に富んでいて、非常に読み易く爽快だった。今の時代に読んで、その論旨に納得できる。かなりおすすめ。発売当初はベストセラーになった。

本書はユダヤ人の目から見た日本人論を展開していてる。しかし、著者のイザヤ・ベンダサン、実は訳者とクレジットされている山本七平によるペンネームで、数人のユダヤ人の協力を得ているものの実際の文筆は山本七平によるものだとゆう事。

ただ、これには異論が有ると言えばある。 (( 極東ブログ: [書評]日本人とユダヤ人(イザヤ・ベンダサン/山本七平) Part 2))

ユダヤ文化と日本文化の違いを比較しながら、日本の文化について語るってるわけだけど、初出が昭和46年、1971年のものとは思えないほど、現在の日本文化について語ってるようだった。

ベンダサンは言う、日本人はみな日本教の信者なのだと。無宗教だと自覚する日本人もキリスト教徒の日本人も、皆日本教の教徒であると。

では、日本教とは一体どういったものか。曰く、この宗教は「人間とはかくあるべき者だ」とはっきり既定している。 ((『日本人とユダヤ人』(角川文庫ソフィア) P110)) 「人間」を基準とした法外の法を持つ宗教なのだそうだ。そこでは「人間味」「人間的」「人間性」といったものを持つ人間は裁かれない。

確かにと僕は思うのだった。これが、例えば堀江貴文や村上世彰が通例以上の重い判決を言い渡された原因なのかもしれない。日本の世論とゆうか、そうゆう大衆意思的なものは「人間味」をやけに大切にする。そして僕はいつもそれに気概と空すべりの両方を感じるのだが。それに、ホリエモンの問題はそれはそれでまた、別の問題かもしれない。

小室直樹はかなり山本七平を評価していたようだ。山本七平の『勤勉の哲学』に、85ページもの長文解説を寄せてるらしいし、二人の共著『日本教の社会学』も出版している。 (( 山本七平の日本人論 - My Life Between Silicon Valley and Japan))

ベンダサンは漱石の『草枕』を日本教の『創世記』と見立て、天皇を日本教の法王だとし、恩田木工の『日暮硯』を長く引用してその改革を実に法外の法に準拠した、つまりもろに日本教的な改革であると言い、勝海舟を政治天才とおだて、西郷隆盛を殉教者にする。

ユダヤ教のラビや聖書と比較して日本文化を解説する語り口は軽妙で、巻末に三つの詩をもってくる選択などは、単純に読み物としておもしろい。事例としてあげる事柄には色々と事実誤認が多いようだが、そんな事が瑣末にも思えてくる。

おりしも17日に、名古屋高裁でイラク派遣に対する違憲判決がでたが、この裁判を勤めた青山邦夫裁判官は退官前の最後の裁判だったそうだ。 (( 違憲判決 - 元検弁護士のつぶやき))

その話を知った時、僕は判決文を一読もしないのに、真っ先にこの青山裁判官の人間性を想像するのだった。これが日本教なのだろうか。吃度そうなのだろう。

参考・参照

偉大なる素人としての山本七平氏 - 数学屋のメガネ