辻 仁成 『冷静と情熱のあいだ—Blu』の感想

辻 仁成 『冷静と情熱のあいだ—Blu』の感想

辻仁成が男性の視点、江國香織が女性の視点で、それぞれ同じ物語を小説にした『冷静と情熱のあいだ』の辻仁成(Blu)バージョンを読みました。1999年出版単行本の文庫化。


二人の作家が男女別々の視点で一つの物語を書くとゆう、たぶん前例の無いこの二つの小説。こんな企画を思いつき実行出来る人はすごいなぁ、誰の企画なんだろう、電通か。なんて思っていましたが、筆者によるあとがきを読むと、作家同士が意気投合して作りあげた小説だそうです。しかも、二年間の連載で、さらにミリオンセラー、素晴らしいです。

まだ江國香織のRossoバージョンを読んでないので当たり前の事ですが、Bluバージョンを単体の小説として読んだだけでは消化不良でした。登場人物「ジョバンナ先生」「ゲイのアンジェロ」「恋人の芽美」「父清雅」それぞれのエピソードを、さらに膨らませる事が可能な書かれ方がされてあるのに、それを已むなく削ぎ落としていったとゆう感じがします。どこか連載漫画に似た印象を持ちました。

芽美のルームメイトであるインスーと、二人で無言で抱き合って、ディナーを食べ、お互いの人には言えない想いを語り合うのに、その後になんもない、何も事件が起きない、とゆう肩透かしがこの消化不良を象徴します。連載でしかも特殊な形態の小説なので、これは仕方が無いのかもしれません。

Rossoバージョンでこれらの人物が登場すると消化不良が解消されるのですが、清雅は当確として、もしかしたら芽美が出てくるかな、ぐらいで、他の人物については書かれてないんじゃないかと予想しています。

しかし、もしかしたらこの消化不良感は小説の特殊な形態とゆうより、辻仁成の資質によるものかもしれないので、このような予想に意義は無いのかもしれません。

変わってるなと思ったのが「父清雅」「祖父清治」と名前の前に呼称をつけるやり方で、一度ではなく何度も「父清雅」と文中にでてくるので、「父清雅」が「紫式部」みたいに何か一つの固有名詞であるかのような感覚に襲われました。

参考・参照

by Alaskan Dude