メタメタしてる。アラスター・グレイ『ラナーク―四巻からなる伝記』の感想

メタメタしてる。アラスター・グレイ『ラナーク―四巻からなる伝記』の感想

Òran Mór

単行本のカバーを自ら手がける多才なアラスター・グレイの『ラナーク―四巻からなる伝記』は、物語の構造にかなり凝った全4巻からなる小説で、村上春樹の『世界の終わり・・・・』のような互いに関係し合う別々の二つの小説を内包し、第一巻・第二巻は (一冊の本の中に巻数があるのは奇妙な感じもするけれど) 主人公ソーの幼少から美術学校生までの著者の自伝的で現実的な物語で、第三巻・四巻は皮膚が竜になったり、体中が口になる病気が流行しているような街にいつの間にか来ちゃった的な、霧の向こうに辛うじてボヤけてみえる委員会と評議会なるシステムが、どうも世界を動かしてるらしい、ゴム味の人肉エニグマ・ド・フィレ・コンガレ(冷凍フィレの謎仕立て)で力みなぎるSFファンタジーで、一・二巻の主人公ソーが転生して三・四巻の主人公ラナークとなっているのだけれども、この本を手にとっていざ読み始めると、まず最初に読者が目にするのは3巻、次に1巻2巻4巻と続く”小説”の形式を意識した特徴的な構造を持っていて、一巻・二巻はあるある青春小説とでもゆうべき内容ですが、3巻と1巻の移行をうながすプロローグは神話のような含蓄で、レタスとハムでパンをはさんだかのように4巻の途中に突然差し込まれているエピローグには満を持して作者自身が登場し、主人公ラナークと今まさに読者が読んでいるこの小説のエンディングの行方をめぐって対決するそのページの見開きの両端にはなんと、作者が文中に使用した様々な引用の元ネタと解説が”評論家のため”と名をうって注釈が書き記されてる、とゆうメタさ。1981年出版の2007年翻訳。

参考・参照

photo by mr lynch